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なぎさです。
先月末、東京都内の企業で
「女性活躍と多様性推進に関するセミナー」に登壇してきました。
印象的だったのは、参加者からいただいた以下の質問です。
「女性活躍って、女性に“下駄をはかせる”取り組みなんじゃないんですか?」
「本来、管理職にふさわしくない人が“女性だから”という理由で昇進して、現場が混乱しているように見えるのですが……?」
率直な疑問、そして、現場で実際に感じている“違和感”だからこそ、
こうした質問が出てくるのだと思いますが、「下駄をはかせる」という表現には、
「本来の実力よりも優遇する」というニュアンスが含まれています。
過去の日本社会では“性別”という理由で女性に機会が与えられなかった時代が長くありました。
同じ能力があっても昇進できなかったり、採用段階で弾かれたりという不平等です。
こうした背景を踏まえ、今行われている“女性活躍推進”とは、「不平等なスタートラインを是正するための仕組みづくり」であり、「優遇」ではなく「公平」に近づける努力です。
スタートラインが同じでなかったのなら、同じ距離を走るためには補正が必要なのは当然ですよね✨
「女性だから昇進できた」と聞くと、“能力が足りていないのに昇進した”というイメージを持つ方もいらっしゃいます。
実際、どの組織にも、マネジメントに向き・不向きがある人は存在します。
これは性別にかかわらず起こることです。
ですが、女性管理職の数がまだ少ない今、1人の女性管理職がうまくいかなかったとき、「やっぱり女性は管理職に向いていない」とラベルを貼られてしまいやすい現実があります。
それは女性個人の問題ではなく、ジェンダーに基づく無意識のバイアス(アンコンシャス・バイアス)の現れです。
1人の“うまくいかなかった男性管理職”がいても、男性全体に影響を与えることは少ないのに、女性の場合は“女性全体の能力の象徴”として語られてしまう。
これは構造の問題です。
「女性活躍を推進することで、男性が不利になるのではないか」という不安の声もよく耳にします。しかし、多様性推進の目的は“女性を優遇する”ことではなく、“多様な価値観を組織に取り入れることで、変化の激しい時代に柔軟で強いチームをつくる”ことにあります。
実際、多様性が高い組織は、そうでない組織に比べて「生産性」「創造性」「離職率」などの面で良い結果を生んでいるという研究もあります。
つまり、女性や外国人、若手やシニア、障がい者など“さまざまな視点を持つ人”が活躍できる組織づくりは、結局のところ全員の働きやすさや成果につながるのです。
“女性活躍”も、“男性活躍”も、“誰かを活かす”ではなく、“一人ひとりが活かされる”社会をつくっていくこと。
それが多様性推進の本質であり、組織が成長するための鍵ではないでしょうか。